Rollins is just Rollins
ジョン・コルトレーンとソニー・ロリンズの関係は、王貞治と長嶋茂雄の関係と似ている
John Coltrane - Giant Steps
ジョン・コルトレーンが他界した後、いや彼の生前から「コルトレーン・ライク(コルトレーン風)」「コルトレーン・フォロワー」と呼ばれるサックス奏者が無数にいた。
それは、コルトレーンが圧倒的に格好良く、信じられないほど難解な音列を演奏していながらも、そのスタイルが論理的で分析と模倣が可能だったからだ(嵐のようにフリーキーな晩年の演奏は除く)。
Sonny Rollins - St. Thomas
しかし、今年の5月にソニー・ロリンズが逝去した後、人々は「彼は唯一無二の存在だった」「彼は即興演奏の達人だった」と称賛するものの、そこで終わっている。
思えば、彼の生前でさえ本格的な「ロリンズ派」のプレイヤーは存在しなかった。言い換えれば、ロリンズが作曲した楽曲は多くの人に演奏されたものの(今後も演奏され続けるだろう)、彼の演奏スタイルを模倣し、自分のものにしたプレイヤーは誰一人としていないと言える。強いて一人挙げるとすれば、ブランフォード・マルサリスかもしれないが。
ロリンズのプレイスタイルは、紛れもなくロリンズそのものであり、これからもそうあり続けるだろう。
偉大なる永久欠番「1」 王貞治
この話は、日本の名プロ野球選手にも例えられる。
バッターとしての王貞治は努力の人で、鍛錬の末に一本足打法を習得しホームランを増産した、記録に残る名打者だった。その打撃フォームや精神論を学ぶフォロワーは多い。そのことから、王のスタイルはジョン・コルトレーンのそれに似ている。
偉大なる永久欠番「3」 長嶋茂雄
対して、気ままに振る舞い絶大なる人気を獲得した長嶋茂雄のバッティングは、自由奔放なスタイルが特長だった。さらに、天覧試合でサヨナラホームランを打つ勝負強さがあり、我々の記憶に残るバッターであったことは言うまでもない。そういう点から、私は長嶋とロリンズに相似点を見出す。
ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンが唯一共演した《Tenor Madness》
おそらく、今後も「コルトレーン・フォロワー」は増え続け、彼のプレイスタイルは受け継がれるだろう。
翻ってロリンズの場合は、過去の録音が聴かれ、作曲された作品が演奏されても、彼の唯一無二のサックス・スタイルは、おそらく次の世代へと継承されることはないだろう。
だが、それでも良いのだ。繰り返すが、ロリンズは、ロリンズなのだから。
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